手太陽之筋,起於小指之上,上結於捥,上循臂內廉,結於肘內兌骨之後,彈之應於小指之上①,上入結於腋下;
其支者,後走掖後廉,上繞肩甲,循頸出足太陽之筋前,結於耳後完骨;
其支者,入耳中;
其直者,出耳上,下結於顑②,上屬目外眥。
其病手小指支痛③,肘內兌骨後廉痛,循臂陰入腋下④,腋下痛,掖後廉痛,繞肩、肩甲⑤引頸而痛,應耳中鳴痛,引頷,目瞑,良久乃能⑥視。頸筋急則爲筋瘻頸腫,寒熱在頸者。
治在燔鍼却刺,以知爲數,以痛爲輸。⑦
其爲腫者,傷⑧而兌之。
其支者,上曲牙,循耳前屬目外眥,上額結於角。⑨
其病當所過者支轉筋。
治在燔鍼却刺,以知爲數,以痛爲輸,名曰仲夏痹。
【校異】
①彈之應於小指之上:筋の走行と直接に関わらない句を挟むの異例である。
②顑:『霊枢』は「頷」に作る。
③小指支痛:『霊枢』には「痛」字は無い。
④循臂陰入腋下:この走行の句は不必要。
⑤繞肩肩甲:『霊枢』は「繞肩胛」作る。
⑥能:『霊枢』は「得」に作る。
⑦この数句が二重に有るのは異例である。
⑧傷:『霊枢』は「復」に作り,『太素』楊注にも「傷,或爲復也」(銭教授の指摘に従う)と言う。
⑨再び筋の走行を述べるのは異例である。
下線を引いた部位名は,筋の走行と病症が(順序までも)きっちりと対応する。
例外の「頸筋急則爲筋瘻頸腫,寒熱在頸者,傷而兌之。」は,おそらくは出処を殊にする句なのだろう。
「傷而兌之」は,鑱針でも用いて膿を除くのだと思う。言わずもがなだが,兌は鋭に通じる。
上入結於「腋」下;其支者,後走「掖」後廉,
回覆刪除すぐ近くなのに「腋」「掖」と文字が異なるということは,楊上善はこの2つの漢字を使い分けているのでしょうか?
『霊枢』『甲乙経』はどちらも「腋」で統一されています。
使い分けじゃ無いと思います。
回覆刪除どちらでも同じだから「腋」と書いたり,「掖」と書いたりした。(掖の方が多い。)
白川静氏の『字訓』に,「亦・腋は名詞,掖は多く動詞に用いる」と言うのは「多く」に過ぎない。少なくとも仁和寺本『太素』で部位名として,「掖」を使うことはいくらも有る。
楊上善って,異体字を使い分けるなんて,そんなに緻密な人じゃ無い,と思う。あるいは,日本に於ける抄者は,というべきかも知れないけど。
仁和寺本『太素』には,異体字の併用なんていくらも見える。すぐ近くでやる例も,他では確認してませんが,まあ気にしないのだと思う。
補足です。
刪除『霊枢』が「腋」に統一されているとすると,それは校刊に際して整理したからです。その際,多く名詞として使われる字形の方を,選んだということは有るでしょう。
『甲乙』には「腋」と「掖」の併用です。校刊の際の整理がいい加減なんです。名詞なら「腋」,動詞なら「掖」なんてことは,ちょっと見ただけだけど,無いと思う。