中医古籍整理叢書の重刊が出てますね。
出版社によると,原版の出版から時間がたって,市場に見つけることが困難になっているし,中には中医読者の珍蔵品とされるようなものになっているから,重刊が必要になった,らしい。
有り難いことです。
現代の読者の閲読習慣を考慮して,繁体字横排にしたそうです。パソコン時代ですからね。私ごときも,横排の方に親しみを感じるようになってしまってます。
しかしねえ,余程丁寧にやってもらえないと,誤解しそうなんです。
『鍼灸甲乙経校注』の重刊,巻一・四海第八の部分:
血海有餘則常想其身大,怫 鬱也。然不知其所病;
(校注の番号は省略)
不覚ながら,ぎょっとしました。「常想其身大,怫。」なんて句読が有るわけがない!それはまあ,有り得ません。勿論,「怫然不知其所病;」です。つまり「鬱也」の下の「。」は小さくするべきです。昔の竪排ではちゃんとそうなってます。「鬱也。」は小字注文のはずです。
竪排のときに,編集ミスじゃないかと思ったところは,もとのままです。
回覆刪除巻之七・六経受病発傷寒熱病第一上の篇首付近に:
傷寒一日,太陽受之,故頭項痛腰脊強。
とあって,小字注文「《素問》無背字。」とある。
えっ,どの「背」の字?でしょう。
それはまあ,丁寧な校注が有って,底本はもと「故頭項痛腰脊背強」であるけれど,かくかくしかじかの理由で「背」は余分な字だと判断したから削る,と言ってます。まあ,言わんとすることは分かる。だけど,そうした場合には,小字注文も参考にして削った場合には,余所では「拠って改める」とか何とか言い,「並刪原校」としているように思う。