さて厳監生が死に臨んだとき,二本の指を伸ばして,どうしても息を引き取ろうとしなかった。幾人もの甥と幾人もの家人がみなやってきてあらそい問うた。あるものはふたりの人だといい,あるものはふたつの物だといい,あるものは二カ所の田地だといい,さまざまにいったが,いずれにも首をふって肯かなかった。(妾あがりの妻)趙氏が人々を押しのけて,進み出ていった。「旦那様,旦那様のお気持ちがわかるのはわたしだけでございます。旦那様はあの灯明皿に灯心が二本も入っているのが,油を余計に費やさないかとご心配なのでしょう。わたしがいま取り去りますからね」。そう言い終わって,灯心を一本取り去った。人々が厳監生を見ると,一つうなづいて,手を下ろし,すぐに息を引き取った。してみると,人間というものは,最後の最後,「もういいよ」あるいは「まあこんなものだろう」,あるいはいっそ「もう面倒くさい」と思うまでは息を引き取らないものらしい。いつまでも生きていられるという意味じゃないですよ。そんなに時間をおかずに,結局は「もういいよ」になるんだということ。
南京行きの予行演習のつもりで,『儒林外史』を読み始めました。南京や揚州が(一部の)舞台になっているらしい。物好きだね。
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