2017年6月16日 星期五

大蛇か蜈蚣か

米原の近くに,柏原という駅がある。ここに一つの伝説があって,柏原の弥三郎(もしくは伊吹の弥三郎)という乱暴者がいて,土地の大物の大野木殿の婿になっていた。ところが弥三郎の悪行が過ぎて,義父もたまりかねて,成敗した。
この弥三郎の正体は,大蛇だということになっている。
ちょっと待ってよ,ノギというのはナギと同じく蛇のことではなかったか。蛇が蛇を成敗した,のか。(わたしの先祖に,小野木というのがいる。)

俵の藤太は,瀬田の唐橋の大蛇の化身である姫君に頼まれて,蜈蚣退治をしている。敵役が大蛇でなくて,蜈蚣というのがおもしろい。鏃に唾したのが,蜈蚣にとって大毒というのもおもしろい。

宋の『独醒雑志』という怪奇小説集に,報寃蛇というのが載っている。これを防ぐのに宿の主人が筒を貸してくれて,枕元に置いて寝ると,夜中に蛇が屋根裏から堕ちるのに応じて,筒から大蜈蚣が這い出して,蛇を制しかつ斃した。蛇と蜈蚣が敵同士という話は,これに拠るのだろうか。もっと古い謂われが有るんだろうか。こっちは蛇が敵役。

ひょっとすると,蜈蚣の毒に唾が効くというような方書も,有るんじゃないか。

1 則留言:

  1. 清の『池北偶談』にも,蛇の害をふせぐために蜈蚣を貸す宿の話がある。まあ,焼き直しでしょうが。蛇と蜈蚣の戦いというのは,ハブとマングース程度には,好敵手と謂う認識はあったみたいです・

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