2012年7月20日 星期五

不改其楽

何を楽しみとするのか。おのれの是とする生活を楽しみとする。世の中の役にたつ存在であることの楽しみも有ろうし,おのれのこころの自由を得ることの楽しみも有ろう。しかし,ここには「改めず」という句が有る。理想と考えていたはずの境遇に在って,それとは裏腹な不如意に陥っても,それによって,満足度が揺らぐようなことはない。理想と考えていた境遇に達するのが難しくなっても,それによって,志したはじめの昂揚が薄れるわけでもない。
あるひと曰く:師匠である私自身は,日暮れて道遠しの心境で,ややともすれば不遇をかこちがちになる。ところが甥にして弟子でもあるおまえは,なんとまあ,私が教えたとおりに,身も心も持して揺るがない,その楽しみを改めない。偉いものだなあ。

1 則留言:

  1. 例えば,気に入った,安手の居酒屋で,気に入った肴で,気に入った酒を呑み,気の合う友人と,あそこの呑み屋もケッコウ良いぞ,などと情報の交換をする。
    もっと高級な店で呑みたいとか,美女を侍らせたい,なんてことでは,楽しみを改めるのそしりが有ろう。
    おごってもらった店を,あれも良かったなどとは平気でいうが,自腹には荷が重いなどと,嘆いたりはしない。
    安酒で天下国家を論じ,史上の豪傑奸雄,あるいは世上の姦婦貞女を論う。あまり,ほめられた趣味ではない,との自覚は有るが,別にその楽しみを改めようとも思わない。

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