2015年5月25日 星期一

菊千代

講談社の『本』に連載を書いている御仁,賢いのか物知りなのか。それはまあ,わたしなんぞより遙かに賢くて物知りに違いないのだが,ときどき何だこれは,は有る。
黒澤明監督の映画「七人の侍」で,無学な百姓あがりの乱暴者三船敏郎がどこかで拾ってきた系図を叩いて「これが俺だ」と言うと他の者が「ほうお前は菊千代か」と大笑いする所がある。当人も菊千代が子供の名前だとはわかるので間の悪い顔をする。
それは違うだろう。幼名は菊千代でも竹千代でも,今は別のごつい通称になっていて不思議はない。菊千代どのも,系図を落っことした時分には,まともに勝四郎とか,おもおもしく勘兵衛とか名乗っていたのかも知れない,そう書き足してあったかも知れない。大笑いは,優美な「菊千代」と,百姓あがりの「乱暴者」の違和感のせいだろう。つまり,拾ったにすぎないのも,文字が読めない無学なのも見え見えだという滑稽。

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