『論語』述而と子罕に「子疾病」とあり,日本の学者は,どちらも「子の疾,病たり」と訓み,おおむね「先生のヤマイが重くなった」と現代語訳している。そして,日本で「疾病」を単に「病気」「病気になる」の意味に使うのは,中国での本来の意味とはズレているのだそうな。確かに訓詁の書を紐解けば,古くは「重病曰病,軽病曰疾」ではあるだろうが,「(軽い)疾が(重い)病となる」などという句は信じ難い。孔子様だから特別の訓を用意したわけではあるまいし。現代中国語訳は,おおむね「孔子患了重病」である。つまり,単に「先生が重病になった」。ヤマイを患った,「病」という字も用いているのだから,それは重病なんだ,である。ついでに言えば,『素問』『霊枢』に「病が重くなる」と解すべき用例なんぞ無いと思う。
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