2012年6月18日 星期一

重合経而冠鍼服

この八字は,『素問』の王冰序に見える。「合經」は,やはり「經合」が正しいのだと思う。森立之『素問攷注』の,全元起本では「経と調の二論は第一巻に在り」,鍼経に冠する,魅力的ではあるけれど,やはり無理でしょう。「鍼服」を「鍼經」にしたのも,単に森立之のミスじゃないか。上海の段逸山教授は,王冰本にも全元起本にも、針服篇とか針服という文字を含む篇とかが、無いのに困っているらしいが,『素問』八正神明論の冒頭に「用鍼之服,必有法則焉」とある。してみると,「鍼服」は八正神明論を指しているのではないか。八正神明論は,全元起本では第二巻の,同じ巻の中では王冰本も全元起本も各篇の順は同じとすれば,真邪論すなわち経合論の前に在る。第二巻に在るときの名が経合論でないのは残念だが。重合而冠鍼服=第一巻の経合を重ねて,第二巻では真邪論とする篇の前に,「」云々の篇を冠する。古い書物の名は,取りあえず,冒頭近くのいくつかの文字によることが多い。八正神明論という名の前には,冒頭の「用鍼之服」によって,鍼服と呼ばれていた可能性も無くは無い。
(劉衡如さんが,すでにこうした説のおおむねを,述べていらっしゃった。)

1 則留言:

  1. 『霊枢』官能にも,「用針之服,必有法則,上視天光,下司八正,以辟奇邪;而觀百姓,審於虚實,無犯其邪,是得天之露,遇歳之虚,救而不勝,反受其殃;故曰:必知天忌,乃言針意。」とある。しかも,この後の「法於往古,驗於來今,觀於窈冥」云々について,『素問』八正神明論では,例えば「法往古とは,先ず鍼経を知るなり」などのように解説を試みている。なんだか,謎めいている。ひょっとすると,王冰の整理によって消えてしまった,古くから伝承された何ものかが,有ったんじゃないか。

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