2017年11月24日 星期五

ボウボウとして

盲盲―茫茫(沈澍農主編『敦煌吐魯番医薬文献新輯校』総論より)
 S.5614第118行:「尺中脈陰実者,腎実也。苦恍惚,善妄[忘],目視盲=[盲],耳龍[聾]日=[日]鳴。」
 上の例文中の「盲盲」は,諸本に未だ校注がない。しかし実際には中医古籍中に多くの類似の用例が見られる。例えば:
 『医心方』巻五第十三に『千金方』に,「治目茫茫不明如年老方。」と云う。
 『外台秘要』巻十六『肝労虚寒方』に,「療肝気虚寒,眼青盲,𥇀𥇀不見物,真珠煎方。」と云う。
 これに因れば,「盲盲」「茫茫」「𥇀𥇀」は相同語境の異文という関係を構成する。「茫茫」が最初の詞形であり,模糊として不明瞭の義がある。「茫茫」から分化して「目」旁に改めれば,すなわち「𥇀𥇀」となる。「𥇀」は「目」旁で「芒」声であり,「盲」は「目」旁で「亡」声である。両者の形符は同じで根声符もまた相同であるから,「盲盲」と「茫茫」「𥇀𥇀」は本質的に同一の詞の異なった書き方である。古医籍に常見の書き方「𥆨𥆨」,また草冠が加わるものも,音義が通じる。通常用いられる盲人の「盲」は同字ではなく,たまたま同形というにすぎない。『脈経』巻十七第一の同条には正しく「䀮䀮」に作っている。

いやなに,黄龍祥さんの『大綱』にも,𥇀䀮𥉂𥆨は登場するようで,統一すべきか,どれに統一しようかと頭を悩ますわけだけれど……,というお話。
それにしても「𥆨」に草冠というのは,ユニコードの拡張領域にも見つからなかった。けれど,いやよくまあこれだけ異体字をそろえてくれたねえ

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