2017年11月27日 星期一

夕暮れに

むかしむかし,多分まだ三十代のころだと思うが,私鉄終着駅の夕暮れに,公衆トイレから,自宅へ帰るバスの待合室にもどったとき,なんだか妙な旅愁を感じた。がらんとした殺風景の,人の気配の薄い部屋に,あかりが灯っているだけのことだ。なんだか中国の地方駅に,一人旅で降り立ったときの気分に似ていた。
こんな気分を自在におこすことができるのなら,人生はもうちょっと興あるものになろうが,如何せん,修行が足りない。むかしむかしのそんな気分を未だに憶えているということは,それからあんまりそんな気分になったことがない,ということだ。

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